2012年5月16日水曜日

常識が覆された、今までの戦略理論 4


戦略およびナポレオンの著名な研究者は2人いる。


ジェミニとクラウゼヴィッツである。

この二人のナポレオン研究は全くと言っていいほど、違ったものであったが、
ジェミニの書かれた戦略理論の方がわかりやすく、フランス語であったので普及したのである。

しかし、多くの軍事組織がジェミニの理論を応用したが、これが有効でないことに気づいた。
つまり使えなかったのだ。
そこで現在では世界的にクラウゼヴィッツの戦略理論を応用している。

なぜ、ジェミニの戦略が役に立たないのかは、下記の比較を見て欲しい。
ジェミニのナポレオン研究は残念ながら仮説ありきで、その仮説の説明にただ、ナポレオンが利用されただけだったのであろう。

では二人の戦略論にどのような違いがあったのか?


ジェミニは、ナポレオンの「戦略的計画」に注視した。

1.司令部の設置
2.重要目標地点の設置
3.現地点から「重要目標地点」までの移動布陣の設定(戦略的計画)

(残念ながら、現代の多くの企業戦略もこの手法をとっている)



クラウゼヴィッツはナポレオンの「戦略的直感」に注視した。

1.偉大な軍人や戦争史の莫大な研究
2.過去のどの戦略が使えるか、どう組み合わせるかを熟考
3.等高線図を精査し、戦略兵器の配置の決定(ひらめきを待つ)
4.重要地点ではなく、「勝てる地点」を見つける
(前線で不利とわかると、目標地点を瞬時に変更)



つまり、ナポレオンは戦略的重要目標地点を攻め落とすことには
注視したが、その攻略が難しいと判断した場合、まず勝てる拠点を作ることに、
全力を尽くしたのである。

その結果、敵もナポレオンがこの拠点を狙ってくるだろうと守備を固めていたところに
ナポレオンが攻め入らず、手薄の拠点に攻め入られたので翻弄された。

これがナポレオンの連勝記録の正体なのだ。

これで、前回お伝えした「目標は立てるな」の意味がおわかりいただけただろう。



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