さて、私が一旦コンサルタントを離れ、身を投じたカウンセラー、セラピスト業界について少し触れてみたい。
以前にもお話ししたように、私は22年前、コンサルタントを行う以前にセラピストを目指したが、諦めてしまった経緯がある。
理由は2つあった。
一つは、その後、国内でいくつかの資格を取ったとはいえ、海外のカウンセラー、セラピストと比べてあまりにもトレーニング不足を痛感し、人のサポートと思ってやっていることが、逆に人の心を傷つけてしまうことを恐れたのである。
海外では心理学の学位を取得後、修士課程とインターンを含めて3~5年のトレーニングが行われる。人の心を扱うことには、それぐらいの慎重さをもって資格が与えられるのである。
そしてもう一つは、たとえ海外でトレーニングを積んで帰ってきたとしても、セラピストとして専業で食って行けるのは、ほんの一握りの人であるとわかったからである。
さらに、質の高いカウンセラー、セラピストほど、稼げないのである。
(その頃はまだコーチという職業はなかったが、現在のコーチも同じような状況といえる)
では、なぜ力量のあるカウンセラー、セラピストほど、稼げないだろうか?
それは質の高いカウンセラー、セラピストほど、クライアントに依存心を持たせないように、「私は自分で気づき」、「私は自分の力で問題解決した」とクライアントに思わせ、相手の自己成長力を高める努力をしているからなのだ。
人は誰でも心の奥底に「自分の意見を受け入れてもらいたい」「相手を自分の思うように動かしたい」という欲求がある。カウンセラーやセラピストも例外ではない。
さらに多くの先生業目指す人々は、
『先生のおかげで、私の人生が変わりました!』
と言ってもらいたいのだ。
しかし、優れたカウンセラー、セラピスト、コーチは、このようなことは相手のためにならないと知っている。
そしてこのような、自分自身の奥底に眠る欲求や感情に気づき、それを排除していくためにトレーニングを自らに課したり、また他のセラピストにスーパーバイザー(セラピストのセラピスト)を依頼したりする。
つまり、常にクライアントにとって空気のような存在になろうとしているのだ。
まさに無私の心境である。
そのようなことを常に自分に課しながら仕事をしている人が、自分を高く売り込んだり、自分のサービス価値を高くみせるようなコピーライティングを行ったりできるだろうか?
もちろんNOである。
良質のカウンセラーやセラピスト、そしてコーチが、ビジネス面で成果を上げようとするならば、日頃自分に課していることを否定しなければならない。
ここに大きな矛盾と葛藤が生まれるのである。
ではこれをどうしたら解決できるのだろうか?
次回はそのことについて話していこう。
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