2010年7月14日水曜日

カリスマ・コンサルタントとゆかいな仲間たち<9>



●なぜブレイクしたのか? その1

さて、話を1年ほど前に戻そう。

K氏の秘書は当時、銀行へ記帳に行くのが毎日楽しくてたまらなかったそうである。

機械に通帳を挿入すると「ジー、ジー・・」と入金記載が1時間以上も止まらなかったそうだ。それぐらい入会者が増え続け、通帳のゼロの数が増えていったのだ。

「後ろに並んでいる他のお客さんに申し訳ないと思いながらも、今日はどれだけ長く時間がかかるかが楽しみで・・並んでいる人が待ち切れずに、窓口に行ってしまうことが誇らしかったんです」と話してくれた。

では、このK氏の会員制組織がなぜ、大ブレイクしたのか?
しかもパートナーのコンサルタントを必要とするまで・・。


要因は複数あり、それらは相乗的に効果を発揮したと言えるだろう。

もちろんK氏のユニークな発想と才能もある。
時代の要求にマッチした、ノウハウの目新しさもある。
また、顧客感情に焦点を当てたマーケティングを自ら実践したことも重要だ。

さらに彼を世に知らしめた2冊目の著書は、当時ビジネス書では異例だった。
ビジネス書では敬遠された色遣いと目を引くタイトル、そして語りかけるような口調は、中小企業の経営者や起業家に親近感を与えて取りこんだ。

しかし、それを相乗的にブレイクさせたのは、「信者化」という究極の顧客戦略だ。
これは当時K氏が「K2コンビ」として盟友関係を組んでいた、もう一人のK´氏の影の功績といってもいいだろう。

その仕掛けの最大要因が二つあった。

一つは年間表彰制度である。

年間最優秀実践者を表彰するイベントを行うことが発表されると、会員は相談することよりも、実践結果を競って報告することに夢中になっていった。

なぜなら優秀な事例はニュースレターで紹介され、ポイントが与えられる。
そのポイントによって、六本木のライブハウスを借り切り、優秀会員だけが集まるパーティーの会場で表彰されるのである。

しかもイベントコンサルタントもやっていたK´氏だけにいろんな演出を凝らし、それは経営者の集まりとはとても思えなかった。まさにロックのライブコンサートのように参加者の気分をハイにした。

その様子がまたニュースレターでいかにも感動的に紹介され、「来年こそは」と、また会員が実践結果を競って報告してくる。ニュースレターの内容もどんどん充実していった。

そうするとコンサルタントが尻叩きをせずとも、黙っておいても喜んで会員は走ってくれるのである。また心理的に自己説得効果も起きるので、知人にこの会を奨めたくなるのである。

コンサル業界やコーチング業界では、クライアントの行動を促すことが非常に重要である。
なぜなら、クライアントが行動し、実践してくれなければ、成果が出ないからだ。

成果が出なければ自分の実績にもつながらないし、顧客満足も得られないので紹介も起こらない。
これを業界では「尻叩き」と呼んでいる。

それぐらい、コンサルタントにとって、いかにクライアントを行動させるかが生命線なのだ。


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