●パートナーコンサルタント養成開始(原動力その1)
このコンサルタント養成講座はパートナー制度と名付けられた。
そしてこの養成講座の大きな原動力になったものが二つあった。
一つは、半年間の養成カリキュラム中にカウンセリングのスキル習得を組み込んだ。
講師はY国立大学のH助教授に依頼した。
コンサルタントの仕事は半分以上が経営者の悩み相談に発展していく。
顧客とのトラブル、社員の問題、そして家族の問題。
その時にカウンセリングの共感力や質問能力が大きな力となっていくと考えたからだ。
解答を提示する必要はない。
いや、このような場合、解答を示さずに聞くこと、適切な質問をすることのほうが数倍大切なのである。
自分で問題の核心部分に気づき、自分で答えを発見するようにしたほうが、本人のモティベーションが高まり、実践行動へつながり、早期の問題解決に結びつく。
私自身、10代から心理学を学んできたし、このH助教授のカウンセラー講座を1年半ほど受けて非常に得ることが多かった。
たとえば、以前、年商百億円ほどのある企業のコンサルティングを行っていた時、こんな経験がある。
その企業は2年間お付き合いいただいたのだが、通常これぐらいの規模の企業となると組織力もあり実行力もあるので2年間も顧問を行えば業績もアップし、次は何もやることがなくなってくる。
そこで正直にそのことを経営者に伝え、こちらから契約更新をお断りした。
「澤田先生、そう言わずに月一回私の話相手でいいので、我が社の顧問としてこれからもずっとお付き合いいただけませんか」
「お気持ちは有り難いのですが、それで顧問料をいただくわけにはいきません。ご連絡いただければいつでもご相談にはのりますので」
そう辞退した。今から考えれば、なにもそんなに頑なにならず引き受ければよかったと思う。しかし当時は『私はカウンセラーではない、コンサルタントなのだ』とこだわっていた。
なぜなら10年前、カウンセラーになることを断念した経緯があったからだ。
この経営者以外にも同じような経験が何度もある。
それはやはりカウンセリングスキルが大きな力となっていた。
トップは孤独である。常に決断を迫られるし、最終責任は常に自分にある。そして弱みを外部に見せられない。
そんなトップに対して、共感し、適切な質問ができると、
『この人は真剣に私のことを考えてくれ、深く理解してくれる相手だ』
『この人は私の良さを引き出してくれる人だ』
と感じていただける。
今でこそコーチという仕事に人気が集まっているが、経営戦略がわかり、マーケティングがわかり、カウンセリングマインドとスキルが備わっていれば、最強だ。
コンサルティングという仕事が終了しても、その経営者のメンターとして長年のお付き合いができるのである。
外部役員という肩書で、役員報酬も支払われるのである。
パートナー制度においてもこのカウンセリング講座は大好評を得た。
カウンセリングマインドとスキルの習得。そして人や組織の心理メカニズムの解説が得られるからである。
感情マーケティングを伝えるには人の心理メカニズムを熟知しておく必要がある。
養成カリキュラムが終わってもこの講座を続けて欲しいと皆から要望があり、さらに1年間2ヶ月に一度続けることとなった。
0 件のコメント:
コメントを投稿