●1億5千万円!?
さて、初めての打ち合わせ当日。
K氏は私にこう言った。
「やってもらいたいのはコンサルタント養成講座のプログラム作りとその組織運営です。募集は私の会員さんから行います。
ウチの会員パッケージを代理店として販売したいという会員さんがかなりいるので、その中から直ぐに集まるでしょう。いかかがです?やってくれますか?」
「もちろん、私でよければやらせてください。
でもK先生、なぜ私を選んだのですか」
「ははは、単純なことなんです。
一番信用できそうと感じたんです。
多くの人が代理店をやりたいと言ってきましたが、
その中であなたが一番信用出来ると思ったんです」
え、そんな単純な理由だけで?
私の経歴も実績もほとんど知らずになんて太っ腹な人だろう。
しかも会ったのは彼のセミナーなどで、十回にも満たないのに。
実はK氏との出会いもランチェスターの竹田陽一先生との出会いの時と同じだった。
社員研修の講師として壁にぶち当たったように、コンサルタントとしても壁にぶち当たったのである。
経営コンサルタントとして顧問先に入り込めば込むほど、中小企業では戦略指導だけではなかなか成果が出ない。
その戦略をどう実行するのか、戦術としての手段や仕組みまで指導していかないと結局は絵に描いた餅で終わってしまう。
例えば新規開拓の営業のやり方から宣伝広告のやり方まで具体的に提案をしないと社員が動かない。
そこで、中小企業にも簡単に導入できるマーケティングを探しているときに偶然にも友人からK氏の著書を紹介された。
この本は衝撃的だった。
当時中小企業向けコンサルティングで急成長していたF総研のノウハウより実践的だと感じた。
それも当然なことだと後でわかったのだが、実はまだほとんど日本で知られていなかったアメリカの最先端のマーケティング手法をK氏なりにアレンジしていたのだ。
K氏が参考にしていたマーケターにはセールスレター1枚で数十億得円を稼ぐ強者もいた。
そのK氏の著書を読み、私も彼の会員制度に直ぐに入会を申し込んだ。
その会員向けマニュアルを見てさらに驚いた。
これだけの会費でよくここまで具体的なマーケティングノウハウと事例を公開するものだと。
この人は損得勘定を超えた本物のコンサルタントだと、当時そう感じた。
そして翌日にはこのノウハウをもっと多くの中小企業に伝えたいので代理店制度を作ってくれないかとK氏に手紙を書いたのだった。
「それで何人ぐらい集めるつもりですか」
「そうですね、取りあえず30人くらい。
最終的には100人ぐらいかな。
入会金が一人300万円として3億円です。
その後もロイヤリティが入ってくるようにしますが、二人で50:50にしましょう」
「え、50%も。それはもらいすぎじゃないでしょうか?」
「ほとんど実務はお願いしますから、当然でしょう。
いかがですかこの条件で?」
もちろん、良いも悪いもない。
3億円の半分ということは一億5千万円!?
当時の私の金銭感覚からゼロが二桁ちがう。
億というものは私にはただの数字であって、全くの実感が掴めない単位であった。
商取引で経験しても自分の収入となれば全く別の話だ。
昔、3億円事件というのがあった。
その報道番組でさえ庶民はその実感が湧かないだろうと、現ナマをスタジオでわざわざ山積みしていた場面を今でも鮮明に覚えている。
話半分としても数千万円の仕事となる。
しかもロイヤリティが継続的に入ってくる。
とんでもない話だ。
今までの私の価値が100倍にもなったように感じた。
しかもあのベストセラーをだした売れっ子のコンサルタントと一緒に仕事が出来るのだ。
こんな私をここまで評価してくれた人が今までいただろうか。
こんな私を・・。
その頃の私はまだまだ、これぐらいのセルフイメージでしかなかった。
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